29 全 穀 発 第40号

                          平成 29年 4月 11日

 

組合員各位 様

 

                           全国穀類工業協同組合

 

            ミニレター(29−4)

     

 今号では、44日(火)に行われた農林水産省政策統括官への要請、平成29年産加工

用米の価格動向等、及び農林水産省の「需要に応じた米生産の推進に関する要領」が一部改

正されましたので、その概要等について下記の通りお知らせいたします。

 

                 記

 

1農林水産省政策統括官への要請

   平成2944日(火)全国加工米需要者団体協議会は、農林水産省政策統括官に

  対し「加工用米の安定供給に向けた助成制度について」(別紙1参照)要請を行いました

  ので、その概要を報告致します。

   【参加者】

     農林水産省:天羽生産部長、峰村水田農業対策室長 他

     協議会:全国米菓、餅工、酒造組合、味噌、穀類(菓子、冷食、即席食品は欠席)

【要請1 加工用米の安定供給・安定調達体制の確立について】

  (天羽部長の回答)

・加工用米については、より長期的な契約の下で安定的な調達を図っていくこと

 が重要と考えており、産地に対しても「需要に応じた生産」を行うよう指導し

 ている

      ・加工用途向けには、80万d/年の需要があり、このうち特定米穀は25万d

       /年程度が使用されているが、特定米穀は発生量が不安定で、年々主食用米の

       生産量が減少していく下では安定供給は困難であるので、安定的な調達を行

       うためには、計画生産が可能な加工用米に依ることが必要。

      ・需要者の皆さんには、特定米穀に依存するのではなく、加工用米での調達を

       考えて頂きたい。産地に対しては、需要者の求める品質、価格帯での生産を

       要請している、このことを需要者の皆さんからも産地に言い込んで欲しい。

   【要請2 「水田活用の直接支払交付金」の安定的な運用について】

     (天羽部長の回答)

・「水田活用直接支払交付金」は、支払い単価の決まっている交付金(政略作物

 交付金、加工用米は2万円/10a)と「産地資金」という県・市町村の「再生

 協議会」判断で、地域の実情に応じて使える予算がある。

・「水田活用直接支払交付金」は29年度3,150億円(前年度から72億円の

 増)を確保している。(道府県により事情は異なるが、複数年契約の12,000

 円/10aは廃止されたが、交付金総額は増えている)

・現時点で来年度(30年度)の予算のスキームや予算規模については、まだ白

 紙状態だが、需要に応じた生産を実現するために必要な予算は確保していき

 たい。

   【意見交換】

     (水田活用直接支払交付金関係)

・全農は平成29年産加工用米について、販売価格を前年産比1,000/60kg

 約10%の引き上げを検討しており、これを製品価格に転嫁することは困難な

 状況にある。

・国産米を使用し、安全・安心で美味しいことが需要の拡大に繋がり、国内産米

 の生産の維持にもつながる。9,000/玄米60kgになると計り知れないコ

 スト増となり加工業界は厳しい状況に陥る。

・国の輸出戦略に対応し、加工品の輸出を行うためには、国産米を競争力のある

 価格帯で、安定的に供給することが必要である。

29FY予算で戦略作物交付金(加工用米は2万円/10a)は確保されたが、県

 独自の判断で使える産地交付金については、29年度に廃止された複数年契約

 に対する助成(12,000/10a)を残している県もある。30年産加工用米

 の生産に向けては各県に対し、複数年契約の産地交付金を復活するよう、指導

 頂きたい。

・加工用米の助成金は、用途に関係なく2万円/10aの一律の単価となってい

 る。このため販売価格の高い清酒・加工米飯に生産が集中する傾向がある。こ

 のためどの業種に供給しても生産者手取りが一律となるよう2万円/10a

 ベースに業種ごとに可変させる助成体系を検討頂きたい。同様に新米粉用米

 についても、現行、飼料用米と同じ助成体系であり、作り易い飼料用米にシフ

 トする傾向が強いので、新米粉用米の生産が刺激されるような助成体系とし

 て貰いたい。

(国側の回答)

・産地交付金の性格上、国が加工用米に限定して使用せよという指導は難しい。

 その使途については、ユーザー側から県等に要請していくのが最善であると

 思う、「地産・地消」地場産業の育成、地域経済への貢献等の観点から考えて

 も、自治体として加工用に対する産地交付金の必要性を考えるのではないの

 か。いずれにしても、財源に限りはあるが、30年産米以降も支障の無いよう

 に措置していきたい

    【その他】

30年産以降、国による生産目標数量の配分の廃止(生産調整の廃止)により

 生産調整のメリット措置として主食用米に助成されている「米の直接支払交

 付金7,500/10」が廃止されるので理論的には主食用、加工用の区別が

 無くなることとなるのではないのか。現在、主食用米で加工用米の不足を補っ

 ている加工メーカーもあるので、加工メーカーの使う米は加工用という分か

 りやすい制度として貰いたい。

・昨年12月の要請の際備蓄米の放出についてお願いして叶わなかった。然しな

 がら、29年産が出回る前の端境期に再度放出を求める声が上がると思う。

(国側の回答)

・需要に見合った生産をしていくことが基本であり、主食用として供給されてい

 た数量が、加工用米として生産されるのであれば加工用となる。加工用米の助

 成は、生産と需要のマッチングに交付されている。

・生産調整の7,500/10aのメリット措置は廃止されるので、その分生産者

 手取りは減額となり、この限りに於いては、加工用米は作り易くなるというこ

 と。

・政府備蓄米の放出については、前回も説明したが難しい。

・需要者の皆さんは、加工用米の販売課価格の上昇分を製品価格に転嫁するのは

 困難だと言われるが、生産者は現在の米価値上げ水準では不十分だと思って

 いる、製品価格に転嫁する努力も必要であり、よろしくお願いする。

 

2 平成29年産加工用米の価格動向等

全農から、平成29年産加工用うるち米の取引条件(単年契約)について提示(別

2参照)がありましたので、その概要を報告致します。

【販売価格】

28年産までは、基準価格を公表してきたが、29年産(単年契約)については、

 基準価格は非公表。販売価格については、取引先毎に条件が違うので、全農販

 売事業所から、別途提案されるとのこと。

  ※価格については明示されないものの、29年産加工用うるち米の

   概算金について、全農から各県本部に対し、1,000/60kg

引き上げることが説明されており、販売価格についても、

これに見合った引上げとなる見込み。

また、価格を公表しないのは、

        @系統の集荷率が2030%という状況の下で、地域流通米等の

         集荷業者に販売価格の居所を示唆することとなり、集荷率が

益々低下し、安定供給に支障が生ずること。

        A需要者からは、販売価格の公表により、地域流通米等との価格比較が

         容易となり、値下げ要請や、契約数量の変動要因となること。

としています。

 

≪参考≫

 全農扱いの平成28年産加工用うるち米の価格条件

  ○基準価格:9,600/60kg(12等包装込み、指定場所渡し)

  ○受注単位割引:1受注当たり5.4d以上▲300/60kg

  ○契約ロット割引:5001,000d未満 ▲100  〃

           1,0003,000d未満▲200/60kg

           3,000d以上       300  〃

  ●JAあきた湖東扱いの28年産加工用うるち米の価格は

   8,300/60kg(12等、産倉在姿)ですが、これに運賃、

金倉(引取期限が全農より半年早い)が掛かります。

 なお、同29年産の販売価格については、今のところ

9,100/60kgを提示されております。

【その他】

・取引のある需要者には、全農事業所の担当者が訪問し、数量の申し込み徴取及

 び価格の提示をする。

(新たに、全農扱いの加工用米の使用を検討している組合員は、

全農事業所に、その旨連絡して下さい。全集連扱いの加工用米について

も同様に全集連の各県組合に連絡して下さい。)

 

3 要領の一部改正について

    農林水産省の「需要に応じた米生産の推進に関する要領」が一部改正されま

   した(関係部分抜粋、別紙3参照)

    特に関係する部分は、同要領の「新規需要米出荷契約において定める事項に

   ついて」の2品位に関する事項であり、新米粉用については、今までは、品位

   等検査の3等以上となっていたが、契約当事者間(生産者と需要者)で決定し

   た品位(規格外以上)とすることが出来るようになり、契約に記載すれば若干

   数量が増えることとなります。

 

4 基本指針の変更について

    「米穀の需給及び価格に関する基本指針」は、食糧法に基づき、毎年7月に

   策定され11月及び3月に改定されますが、今般、3月の改訂版が公表されま

   したが、11月公表分とほとんど変わっておりません。(別紙4参照)

 

以上

 

                                    ミニレターJ